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わくわく (6)
ふらふら
いそいそ
かりかり
おたおた
どきどき
きらきら
ぽつぽつ
とんとん
こつこつ
わいわい
いらいら
ずきずき
ひしひし
わくわく
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
ゆるゆる
 最後の演目は『唐船どーいー』だ。店主とタカさんがマイクの前に立った。

みなさん、今日は本当にありがとうございました。最後は沖縄の踊り。カチャーシーで締めたいと思います」

 歌持が始まる。トヨさんが舞台の上で、軽く飛び跳ねるように踊り始める。アキちゃんは、客席まで行って踊っている。椅子席の人が踊り出した。ああ、踊れるんだ。よかった。座ったまま、手だけをひらひらさせて踊っている人もいる。ボクも客席に降りて一緒に踊った。
 振り向いて舞台を見る。舞台の上では、トヨさんと二人の歌い手・・・のはずなのに、一人多い。舞台に上がって踊っているおじいさんがいる。白髪交じりでおでこの広い、またあのおじいさんだよ。踊っているというよりも、長い手足をばたばたさせているだけって感じだけどね。おっと、ぼくたちの待機場所へ歩いていったよ。あ、パーランクーを勝手に持ってきて、あらー、打ちながら踊り出したよ。なんて自由な人なんだ。でも、盛り上げてくれているんだね。ありがとう。

 客席の一番後ろで立ってみていた職員のみなさんも、見よう見まねで踊ってくれている。客席で、おばあさんの手をとりながら踊る職員もいる。一緒に踊るって、言葉は交わさないけれど心が通じるような気がするな。
 ボクは、踊りながら客席を一回りした。そして、舞台の近くで踊りながら、ボクが歌う順番を待っていた。と、その時、客席の後ろにいた二人の職員が何かに気づいて、踊りをやめて駆け出した。その先では、車イスに座っていたおばあさんが立ち上がろうとしていたんだ。車イスにたどり着いた職員がおばあさんの体を支えようと、腕をつかんだのだけれど、おばあさんはその手をふりほどいて、車イスの前で自分の足で立って踊りはじめた。職員が顔を見合わせている。おばあさんは、両手を頭の上で二度、三度と翻らせると、歩き始めた。踊りながら、車イスの周りを回り出した。職員の心配顔が、笑顔に変わった。そして、一緒に踊り出した。ボクは、軌跡を目にしているのかもしれない。
 おっと、ボクが歌う番だ。慌ててマイクまで走った。ナンちゃんから三線を受け取って演奏を始める。あら、ナンちゃん、踊りがうまいなあ。ドクはいまいちだね。アキちゃんの歌が終わって、ボクの番だ。えーっと、歌詞は、やっぱりこれ。

 「とーしんどーいーさんてーまんー」


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