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こつこつ (5)
ふらふら
いそいそ
かりかり
おたおた
どきどき
きらきら
ぽつぽつ
とんとん
こつこつ
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
わいわい
いらいら
ずきずき
ひしひし
わくわく
ゆるゆる
 少し沈黙があった。ドクが背中をカウンターから離して身を乗り出してこう言った。

 「リレーってのはどうだろう」
 「リレー?」
最初は、タカさんと店主の二人がマイクの前に立っている。『唐船どーいー』だとしよう。一番は、タカさんが歌う。三線は二人で演奏しているんだ。で、二番は店主。二番が始まったら、オレが歌い終わったタカさんと交代する。三番はオレが歌う。三番を歌っている間にナンちゃんが店主と交代」
 「そっかー。歌い手のリレーですね。いいかもー」

 さっきまで難しい顔をしていたタカさんも、身を乗り出した。

おもしろいね。それなら、全員が歌えるし、歌っていない間は踊れるってことになるんだよね。ちょっと忙しそうだけどね」
 「入れ替わるのを忘れたり、遅れたりしたら?」

 店主は慎重だ。

その時はその時だよ。続けて二番歌ってもいい。臨機応変にやろうぜ」
 「なるほど。それでいけそうだな」

 店主も納得。トヨさんにも確認をとった。

トヨさんは、踊り専門ってことになりますけれど。そういうことでいいですか?」
 「よくわからんけれど、いいんじゃないのー」
トヨおばあのカチャーシー。きっと、すっごく上手だと思いますよー。なんたって、沖縄の人なんだから」
 「こんなねー。ホイホイホイ」

 そう言って、トヨさんは頭の上で手を動かした。手首がしなやかに動いて、それでいてメリハリがついている。これは、本当に上手そうだ。
 ボクは、トヨさんを見ながら去年の舞台を思い出していた。結婚披露パーティーのカチャーシー。あの時も、おばあさんの踊りが、格好良かったなあ。トヨさんの踊りを見ながらみんなが笑って、トヨさんも笑った。

 「じゃあ、『唐船どーいー』の順番は、まず」

 店主は指を差しながら番号を言った。一番タカさん、二番店主。ボクが外されたらどうしようとドキドキしていた。三番ドク、四番ナンちゃん、五番アキちゃん、そして、ボクも六番目に入っていた。やった。ボクも歌える。踊ってもらえる。よーし、頑張るぞ。

今日から、本番までの毎週日曜日は、練習日ってことにしないか?」

 ドクが提案した。ボクも賛成だ。よし、絶対成功させるぞ。


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