とんとん (3) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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土曜日の集会所。ボクの前で、トヨさんは困った顔をしていた。
黙ったままだ。 「どうです?みんなでいっしょに」 「みんなで歌ってくれるのはいいんだけれど」 トヨさんは、自分が歌えるかどうか自信がないようだ。S.W.L.で出会ってからほぼ二週間。といっても、土曜日の練習はこれが三度目。練習量はわずかなんだ。なのに、突然舞台で歌おうという話を持ってきたわけだから、戸惑うのも無理はない。
そう言って、また黙ってしまった。
「はい。いっしょに。お願いします」 どうにか説得して、トヨさんの予定を聞いた。トヨさんの答えは「いつでも暇なのに」だった。 練習は、先週の復習をしてから次に進むことにする。歌持は、ずいぶんなめらかに演奏できるようになっている。そして「うぷゆてぃら」までを歌いながら。うん。これもだいたいできている。 「すごいですよ。家でもがんばってるんですね」
南星園訪問の話を出したときにはずいぶん困った顔だったけれど、覚悟ができたようだ。 トヨさんは、歌を歌える。まあ、多少はCDと違うところがあるようだけれど、それは気にしないことにする。その歌に三線をくっつけるというのが先週思いついた方法だ。これから先も、この方法で押していこう。 (4)へ |