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とんとん (2)
ふらふら
いそいそ
かりかり
おたおた
どきどき
きらきら
ぽつぽつ
とんとん
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
こつこつ
わいわい
いらいら
ずきずき
ひしひし
わくわく
ゆるゆる
 「どうしたんですかー?」

 アキちゃんに声を掛けられた。アキちゃんは、おじいさんのことを知っているのだろうか。

 「アキちゃん、おじいさんのこと、知ってます?」
 「どこのおじいさん?」
 「トヨさんの、ですから、夫ですよ」
 「え?トヨさん、一人暮らしだと思うけど」

 アキちゃんは事情を知らないらしい。ボクは、トヨさんがどうして『とうがにあやぐ』を覚えようとしているのかをみんなに話した。「間に合わないかも」というトヨさんの言葉も使って。ちょっと暗い話で、誕生日のパーティーにはふさわしくないと思ったんだけれど、話さずにはいられなかったんだ。
 ボクの説明が終わって、少し重苦しい空気になった。そこへ、タカさんが大きな声でこう言った。

 「南星園って、二年前に行ったよね」

 タカさんの顔は、アキちゃんの方に向いていた。

 「はい。楽しかったですねー。私の初めてのライブでしたよ」
 「ライブ?」

 ボクは、つい大きな声を出してしまった。タカさんがこっちを見た。

そうなんだよね。アキちゃんと二人で、施設訪問をしたんだよね。といっても、クリスマス会の中で三曲歌っただけだけれど」
 「三曲だけでも、いい思い出ですー」
 「もう一度やってみたいよね」
 「そうですねー。みんなで行けるといいですねー」

 そこへ、店主が。

 「ここに集まったみんなで、南星園ライブかあ。いいねえ」
いいよね。このメンバーで、いつかはやってみたいと思っていたんだよね」
楽しいですよねー、ライブ。みんなで行けば、沖縄民謡も八重山民謡も何でもできますよー」
トヨさんが『とうがにあやぐ』を歌ってくれれば、沖縄、八重山、宮古、全部だ」
 「きゃー、すごーい。最後は、カチャーシーで」

 と、ここで黙っていたドクも参加。

琉球古典も、二、三曲入れてくれよ。最初はやっぱり『かぎやで風』でしょ」
ドク、最初はみんなの知っている曲にした方がいいと思うよ」
 「ポップスがいいんじゃないですかー。『島唄』とか」
そうだね。まず、お客さんの気持ちを掴まないといけないね」

 なんだか、話がどんどん進んでいるよ。みんな本気なのだろうか。タカさんは、もうプログラムを考え始めているらしい。

 「プログラムは一時間程度でいいよね」

 それを聞いたドクが、

とすると、十曲程度になるかな。そのうち、古典は三曲ということで」
 「ドク!」

 見事なツッコミだ。

 「一曲でもいい」

 みんなが笑った。笑い終わって、店主がボクの方を向いてこう言ったんだ。

 「どう思う?」

 次はドクがボクを見る。

 「早いほうがいいと思うぞ」

 ナンちゃんも無言でボクを見る。最後はアキちゃんが、とどめを刺すように笑顔でこう言った。

 「いつにしますー?」

は、はい。じゃあ、とにかくトヨさんにご予定を聞いてから・・・」

 なんだか、すごいことになってきたぞ。


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