わいわい (4) | |||||||||||||||||||||
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家に帰ってから、プログラムを紙に書き出してみる。ボクが出演するのは、アキちゃんと歌う『てぃんさぐぬ花』と『国頭ジントーヨー』。あ、最初は全員で『花』だから、これも歌う。それに『十九の春』と『唐船どーいー』もだ。え!五曲も歌うことになっているんだ。それに、『とうがにあやぐ』も舞台に出てトヨさんと一緒に演奏するんだよ。出番が多いってことはうれしいけれど、この中で自信があるのは『花』と『てぃんさぐぬ花』だけ。『唐船どーいー』は覚えたばかり。『国頭ジントーヨー』は今日初めて弾いたし。これは大変なことになっているぞ。 それから一週間。仕事は相変わらず忙しい。家に帰る時間も遅くなりがちだ。でも、どんなに遅く帰っても、三線を触らずにはいられない。 昨年末から、あの名刺を手にするまでの倦怠感がうそのようだ。発表する場があるというのは、これほどまでに気分を高揚させてくれるものなんだ。高揚させてくれているというより、追いつめられていると言うべきだな。 トヨさんとの五回目の土曜練習。一緒に『とうがにあやぐ』を演奏している間に、ボクは三線を覚えてしまっていた。歌も、発音は別にして、歌えるようになっていた。でも、発表会では、ボクは歌わない。トヨさんの三線のサポート役に徹するつもりだ。 トヨさんも、ゆっくりと前進している。この日、とうとう歌の最後まで行くことができた。でも、最初から通して歌ってみると、三線が止まってしまう。ボクも最初の頃はそうだったな。繰り返して、慣れるしかない。こちらが焦ってもしかたないんだ。もし、舞台で止まってしまったら、ボクが三線を弾いて、トヨさんは歌だけを歌ってくれてもいい。 「いらいら」へ→ |