きらきら (4) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「えー、本日は。エヘヘ」 お客さんも笑った。
拍手が止むと同時に、三線が鳴った。後を追うように笛が鳴る。少し湿ったような柔らかい声が、三線の乾いた音と絡み合っていい雰囲気だ。途中で曲が変わったみたい。さらに曲が変わったように聞こえたけれど、三曲続けて弾いたのかな。
やっぱり三曲だ。しばらく曲の説明をしたあと、三線を持ち上げて、それをお客さんに見せながらこんな話が始まった。
お客さんは、三線に興味のある人ばかりだ。みんな聞き入っている。
ほー、とお客さん。
え?とお客さん。
首を横に振るお客さん。 「その皮は、毎年脱皮して新しくなるんですって」 アハハハと笑うお客さんと、きょとんとしているお客さんがいる。 「あ、信じた人がいますね。冗談ですからね」 ここで、全員が笑った。 トークで心を掴んだところで、次は目出度節。曲の説明の最後に、タカさんがこんなことを言った。 「みなさんに、少しお手伝いをお願いしたいんです」 歌の合間に入る『メデタイメデタイ』なんていうかけ声のことを「返し」とか「囃子」って呼ぶらしい。それをお客さんにやってもらおうというわけだ。
お客さんはぼそぼそと声を出した。 「店主!お客さんたち、飲み足りないみたいだね」 お客さんがアハハと笑った。
今度は、大きな声になった。 「やればできるじゃん!」 またアハハ。
繰り返して練習して、タカさんも納得したみたい。で、演奏が始まった。軽快な曲で、なるほどおめでたい雰囲気だ。お客さんが手拍子を打って、返しを入れて、みんなが一つになって楽しめた。終わったときには、一段と大きな拍手だった。 タカさんの軽妙なトーク。やさしい歌声。ナンちゃんのやわらかい笛の音。二時間のライブは、あっという間だった。 「ぽつぽつ」へ→ |