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どきどき (3)
ふらふら
いそいそ
かりかり
おたおた
どきどき
(1)
(2)
(3)
(4)
きらきら
ぽつぽつ
とんとん
こつこつ
わいわい
いらいら
ずきずき
ひしひし
わくわく
ゆるゆる
 「とーしんどーいー・・・」

 歌っちゃったよ。最後まで歌えるかな。一応歌えるはずなんだけど。

 「いっさんはーえー」

 なんとか大丈夫。ここまではね。

 「わかさ」

 あ、指がもつれる。えっと、どうだったっけ。あちゃー、三線が止まっちゃった。でも、店主が三線を弾いているから、ボクが止まってもなんとかなる。歌は止められない。

 「まーちーむーらーぬーさー」

 ああああ、三線が弾けないよー。

 「はいやせんするゆいやな」

 なんとか歌いきった。歌持になった。ここで三線の方を立て直さないと。高速道路に合流だ。よし。できる。 弾けるぞ。店主が二番を歌い始めた。店主の歌声。やっぱり上手いよ。声もいいけど、リズムがきもちいい。歌と三線はどっちも大切だよね。ああ、ボクも、三線を弾くだけなら大丈夫なんだよなあ。歌いながらは難しいよ。そろそろ二番が終わる。次は三番・・・わ!もしかして、三番はボクなの?まずいよ。知らないもの。まだ一番を歌えるようになったばかりなんだもの。その一番さえ途中から三線が弾けなくなるのに。あらら。二番が終わっちゃったよ。歌持になっちゃったよ。店主がこっち見て笑ってる。笑っている場合じゃないのに。そろそろ歌わないと、歌持ばっかり続けていられないよね。えっと、えっと、えーい。もう一回一番!

 「とーしんどーいー・・・」

 結局、店主と交互に八番まで歌った。ボクは一番を四回繰り返した。
 最後の歌持が終わると、お客さんの笑い声と大きな拍手だ。どのお客さんの顔も楽しそうな顔をしている。心地よい疲労感と満足感で満たされているんだね。中でも一番疲労感が漂っているのは、間違いなくボクだったよ。
 とにかくこうしてボクの『唐船どーいー』デビューは終わった。


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