かりかり (3) | ||||||||||||||||||||||
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小学校のころ、水泳が苦手だった。四年生のときに、二十五メートルを泳ぐテストがあって、ボクは泳ぎ切れなかった。二十メートルのあたりで、立ってしまった。その時先生が言ってくれたんだ。
そうだ。二十メートルでも、ボクにとっては最高記録だった。で、二十五メートル泳げるようになったのは、何年生だっけ。えっと、今は泳げるはずだよな。 「〈老〉〈尺〉〈老〉〈尺〉」を何度も繰り返した。その時気づいた。これって、左手の指は〈老〉と〈尺〉を押さえたままでいいみたい。ほら、問題ないもんね。これで少し楽になったぞ。 まだまだCDのようなスピードは無理だけれど、なんとかできるようになってきたよ。やっぱり素質ある?で、スピードアップしてみると、いつのまにか「パッカ」が逆になっていた。はあ。 日曜日。家で少し三線を弾いてみた。小さな声で歌ってみた。まだ全体を通して歌うことはできないけれど、「とーしんどーいーさんてーまん」の一区切りは、自分でもほぼ満足。「いっさんはーえーならんしやー」も、ほとんど問題ない。「よーいやなー」はまだ間違うことがある。「わかさ」は、昨日練習したおかげで、ここだけならなんとかできるようになった。でも、その前後とつなげるとまだまだぎこちない。 ここ一週間の、一番の収穫は『唐船どーいー』が見えてきたってことかな。最初にS.W.L.の店主に弾いてもらったときは、いったいどの勘所をいつ弾いたのかわからなかった。一度に全部の音が出てきているようだった。でも、今はいくらか音がわかるようになっている。工工四のおかげだけれど、耳の方もずいぶんしっかり聞き取れるようになってきたと思う。 それにしても、我ながらよくがんばっている。今までやる気がなかったわけじゃあない。でも、結婚披露宴で演奏してから、いや、おじいがいなくなってから、少し沈滞気味だった。目標と監視の目と、両方一度に失ったんだからしかたないよね。 今は『唐船どーいー』が弾けるようになりたい。目標ができた。そして、S.W.L.に仲間がいる。これって、ものすごい収穫だと思う。 「おたおた」へ→ |