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第五章 (5)
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エピローグ
 『花』の二日目だった。練習の途中で、大きな問題にぶつかってしまった。声の高さだ。「わらいーなー」の部分が高すぎて声が出ない。

 オジイに相談すると、調弦を落とせという。そうか。三線というのは、自分の声の高さに合わせられるんだ。オジイのアドバイスに従って、「3C 3F 4C」を「2A 3D 3A」にしてみた。まだちょっと苦しいけれど、ずいぶん楽になった。ちょっと苦しいくらいが良い練習になるのかも知れない。

 何を練習するのも、基本は同じだと思う。まず、どこで間違えるのかを確認することだ。ボクの場合、前奏から歌に入るところと、他数カ所に問題がある。タブ譜に印をつけて、そこを重点的に練習する。そんなふうにして、間違える場所を克服していくんだ。

 「さいたさいた」は簡単にできたのに『花』は難しい。どうしてだろう。長いから?いや、どんなに長い曲だって、小さな音の集まりじゃないか。長いからできないなんてことはない。なんて、えらそうに胸を張っても意味がない。だって、できないんだから。

 原因はわかった。「さいたさいた」は、歌と三線がまったく同じように動いている。動いているっていう表現はおかしいかな。「流れている」の方がいい?
 『花』はというと、歌と三線がまったく同じ部分と、少しだけ違っている部分があるんだ。ボクは、そういう場所にくると止まってしまうことが多い。止まる場所がわかったので、そこを繰り返してみる。どうやら、歌が三線につられてしまうようだ。歌の方に集中して、三線がついてくるような感覚がいいんだろうな。これも慣れるしかない。


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