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第一章 (5)
プロローグ
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エピローグ
 「そうですね。でも、最初は人工皮がいいかもしれません」

 店員さんだった。

 「あ、そ、そうなんですか。人工皮がいいんですか」
はい。破れませんし、お安くなっているんですよ。本皮は破れることがありますから」
 「なるほど、本物の皮は破れることもあるんだ」

 この時気づいた。おじいさんに頼る必要なんてない。店には店員さんがいるじゃないか。この人に聞けばいいんだよ。

 店員さんは、いろいろ親切に教えてくれた。棹によって値段が変わるんだとか、皮には人工皮と本物と、二重張りっていうのがあるとか。でも、どの棹でもどの皮でも演奏上は何も問題ないらしい。きっと、高い三線を買ったから腕が上がるってものじゃないんだ。そりゃそうだろうな。ってことで、ボクが購入したのは、こんなものだった。

三線
チューナー
コンタクトマイク
ソフトケース
30000円
2500円
1500円
3000円

 三線用の小さな爪とピック、弦の予備と小さな部品も予備にどうぞってつけてくれた。三線ってのは、いろいろな「予備」を用意しておくものらしい。
 ボクが買った三万円の三線は、人工皮だ。二重張りってのにも惹かれたんだけれど、いつか本物の皮の三線を買えばいいと思って、今はこれにした。ん?いつか本物なんて、なんだかやる気になっている自分に驚いた。

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