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第二章 (3)
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エピローグ
 チンダミってのは、音を合わせることらしい。赤い顔をする必要はなかった。

 「いいか。チンダミは難しいぞ」

 なんて、おじいさんは言ったけれど、ぼくはおじいさんの顔を斜めに見て、笑顔を見せながら紙袋の中から小さな箱をとりだした。
 三線を買うときに、親切な店員さんが教えてくれたんだ。最初に困るのは調弦です。ボクは尋ねた。調弦って何ですか?音を合わせることです。難しいんですか?このチューナーとコンタクトマイクを使うといいですよ。ってね。
 「チューナー」「コンタクトマイク」言葉からしてハイテクだよね。三線を買うときに、二重張りをがまんして安い人工皮を選んだ。その差額でこれを買ったんだ。賢い選択だよね。でも、おじいさんは知らないだろうな。「ちゅーなー?なんじゃそれ?」なんて、口をあんぐり開けて見つめるおじいさんの顔が思い浮かぶよ。

 チューナーとコンタクトマイクを箱から出して、さて、このプラグを差し込むんだったよな。だいたいは店員さんから教えてもらったんだよ。ここに、いや、こっちか。あ、電池を入れないと。よし。ん?何も表示されないぞ?
 チューナーを使うと調弦が簡単にできるらしい。が、初めてなんだから簡単にできる方法がわからない。しかたないので取扱説明書を開いて読み始めたんだ。すると、おじいさんの手が伸びてきて、チューナーの左下のボタンを指さした。

これがパワーボタン。押して。そう。使い終わったらもう一度押して電源を切るようにな。ま、オートオフ機能がついているはずじゃがね。コンタクトマイクは、三線の天をはさめばいい。傷つくのが怖ければ、尾をはさんでもいいぞ。モードボタンは、これか。うん。オートモードになってるな。よし」

 説明を聞きながら、口をあんぐり開けていたのはボクだった。

 「女弦を鳴らしてみなさい。4Cでいこう」


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