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「よし。次は」
おじいさんの指示で、新しいタブ譜を描いた。今度は、男弦から女弦へ飛んだりと、少し難しくなっている。おお、レベルアップだね。ボクは、夢中になって練習をしていた。
右手で三つの弦をはじくだけ。それほど難しくはないけれど、
(1)できるだけ手元を見ないで
(2)空振りや間違いをしないで
(3)きれいな音を出す
という目標を達成するには、まだまだ練習が必要だ。
買ってもらったばかりのおもちゃで夢中になって遊んでいる子どものように、ボクはずっと三線を弾いていた。時計を見ると、おや、もうこんな時間。
「あのう、今日はそろそろ」
「 |
ん。片づけて、寝なさい。一度に長い時間練習するよりも、毎日少しずつ続けること。それが一番大事」 |
なるほどね。で、三線を片づけるわけだけれど、ウマをはずして、えっと、弦はどうするのかな。緩めるの?
「そのままでいい」
「いいんですか?」
「緩めてしまうと、また調弦するときに面倒だから」
「じゃあ、ウマも立てたままでよかったんですか」
「駄目じゃ!ウマは、壊れやすいから」
ふーん。知らないことばかりだ。
おじいさんに言われたとおりのことができなくて、何度も注意されて、ちょっと焦ったりもしたけれど、慌てる必要はないんだよね。まだ三線を始めて一日目。ゆっくり楽しませてもらいましょう。
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