理不尽なのがたまらない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○曲の長さも違う!!
ハハハ・・・えーっと・・・ 『下原節』は、しかたないでしょう。歌詞の長さが違うんだし・・・だめ? だったら、こうしましょう。 この歌は、いろんな人の成功例と失敗例を歌っているんです。うらやましいとか、気の毒だとか、そういう内容ですので、まあ、それぞれ長かったり短かったりするのもしかたないんじゃないでしょうかねえ。歌詞を覚えると、メロディーは自然に出てきますよね。でしょ? 『金細工』ですか。こちらは、舞踊曲ですね。登場人物が三名で芝居のような形になっています。それぞれの台詞が(踊り手は歌いませんが)歌詞になっています。そうです。台詞としての味わいを活かすために、時には短く、時には長くなっているんです。実際に舞台を見ますと、この歌の長短やメロディーの変化が、全体の中でおもしろいアクセントになっていますし、人物の心の動きを伝える役目もしていると思えてきます。このイレギュラーな部分が『金細工』の持ち味であり、おもしろさなのだろうと思います。たぶん。 結局、どれも私の言い訳なんですけどね。 みなさん、歌三線を練習していると、いろいろ辛いこともあるでしょうけれど、がんばってください。というところで、まとめです。 以前、大阪の知人から、こんなメールをいただきました。
お察しの通り、この記事を書き始めたのは、このメールがきっかけでした。沖縄の歌を「理不尽」だとおっしゃいます。ところが、続きがありまして。
理不尽なのが、たまらない。まったくその通りです。たまらなく、ステキなんです。知人はそれを言いたいのです。 理不尽なことが、美しい。それが楽しい。続けていると、きっとそう思えます。 |
手本がない | ||
三線を始めたきっかけは? 「『島唄』が好きで、自分で歌えたらなーと思って」 この場合は、『島唄』が収録されたCDを見つければ、それがお手本になります。工工四も「正調琉球民謡工工四第十一巻」で見つけられるはずです。 「八重山民謡が好きなんです。八重山のいろんな民謡を歌えるようになりたい」 ならば、「CDがたくさんありますし、工工四もありますよー」とまあ、こんな風に答えておしまい。と思ったら、難しい問題があるんですよね。そうです。CDと工工四が合っているかどうかという問題が。 ジャンルによって、その問題の程度も違ってきそうです。 【琉球古典】 琉球古典を勉強している人の場合は、教室に通っている人がほとんどだとは思います。その場合は、先生の歌という、間違いのない手本がありますので問題は少ないでしょう。それでも、「普段は八重山民謡やってるんだけど、ちょっと琉球古典のあの曲も・・・」という場合もあるかもしれません。 琉球古典ですと、工工四の通りに演奏するのが基本ですので、自分の持っている工工四と同じ流派の人が歌うCDであれば、どのCDでも大丈夫だろうと思われます。あとは好みの問題で、だれのCDにするかを決めましょう。 【沖縄民謡】 これはたいへんです。同じ歌い手でも、こっちのCDとあっちのCDでは歌持が違うとか、曲の長さがちがうとか、歌詞がちがうといったことがあります。となれば、工工四と同じ歌い方を探すのは不可能に近い。 この場合、工工四に頼らずに、CDを聞いて三線伴奏も覚えてしまうというのが一番よいやりかたなのでしょう。ですが、それができるなら苦労はしません。できないから困っているわけでして。ならば、とりあえず歌はCDの歌い方を覚えて、三線は工工四を参考にしながら練習しましょう。CDと工工四が少しくらい違っていても、歌をしっかりと覚えていれば、工工四の通りの三線で、なんとか歌えるものです。そうして練習しながらどうしても満足できない部分があれば、その部分だけ自分で都合の良い伴奏を作ってしまうというのが正しいやり方でしょう。 【八重山民謡】 八重山民謡の場合は、琉球古典と沖縄民謡の中間程度の困難さ? 琉球古典ほど、しっかりと流派ごとの歌い方が確立されているとは言えませんが、有名な流派では、ほぼ工工四通りに歌っているCDがあります。 しかし、有名歌手になりますと、どうしても「自分流」が入ってきます。これは非難すべきことではないと思います。お客さんを楽しませることと、自分らしさを出して自分の歌にするという点で、正しいことでしょう。ただ、それを覚えるとなると、基準となる工工四が見つからないということになります。 基準のはっきりした流派の工工四とCDを使うか、有名歌手の歌い方を勉強するために、自分で三線伴奏を聞き取って覚えるか。という選択になるでしょう。 【その他】 沖縄ポップスなどと呼ばれる、最近流行の曲の場合。 そういう曲を集めた工工四を見つけることができます。おそらく、この種の曲をやってみたいとおもっている人は、歌を覚えてしまっていると思われます。覚えていなければ、まず覚えましょう。あとは、その工工四を見ながら歌を乗せる作業となります。 CDなどで聞くポップスは、三線だけでなくいろいろな楽器が伴奏に使われています。それを、自分一人の三線に置き換えると、ちょっと頼りない伴奏に聞こえるでしょう。工工四も三線伴奏だけを書いているわけでして、見ていて「なんじゃこりゃ!」と思うような工工四があったり、「これ、音が一つ足りないじゃん!」と工工四に八つ当たりしたくなる場合もあるかもしれません。それも、ご自身が覚えた歌の方に合わせるという形で克服するしかありません。 三線伴奏だけでは、限界があるということを理解したうえで楽しむことでしょう。そのあたりのお話は、こちらをご覧ください。→「CDみたいに聞こえない」 さて、お手本が見つかった、と思って安心していたら、新たな問題が。 あなたが、女性ならきっとこんなことを感じているはずです。
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異性の声は手本にしにくい 女性にとっては深刻な問題です。ジャンルにかかわらず、CDで聞く三線音楽は、圧倒的に男声が多い。女声は極めて少ないです。 ここは、悩める女性のために考えてみます。 なぜ、男性のCDだと練習しにくいのか。 女性が男性と一緒に歌う場合、一般的には女性の方が一オクターブ高い声を出していることが多いのです。(「声が高いから調弦を低く?」参照)ですから、男性の声で録音されたCDを練習に使うと、女性には「声が高すぎて歌えない」と感じることがあります。だからといって、一オクターブ下げて男性と同じ高さの声を出すと、今度は低すぎてなんだか変。となります。 【CDを手に入れたい】 まず、女性の歌っているCDを見つける努力をしましょう。 女性の歌声が録音されているCDを普通に購入できる曲なら、それをお手本にすれば問題ないですね。ポップスなどは、女性歌手のCDがあるでしょうし、男性が歌っていても比較的「女声にも歌える範囲」の高さのものが多いようですが、いかがですか? 男女の差が明確なのは沖縄民謡の場合でしょう。女性の場合は調弦が低いですよね。男性は「B」や「C」あたりかと思います。女性は「A」かもっと低いくらいでしょう。有名な女声歌手のCDがいくつかありますので、見つけることは難しくないでしょう。また、男女ペアで歌っている曲は、女性に合わせて低めになっていることが多いようです。 八重山民謡の方は、女性と男性が同じくらいの調弦で歌っていることが少なくないようです。高音を好む人が多いこと。そして、男性の歌に合わせて女性が返しを入れるという形が多いことがその理由かもしれません。ということは、八重山民謡の場合は、女性の声が録音されているからといって安心できない。女性なのに高すぎるということがあるわけですね。 沖縄県内ですと、沖縄音楽のCDがレコード店や三味線店に並んでいるわけですが、県外ではなかなか見つからないでしょう。そんなときにはインターネットでしょうね。また、友人が沖縄に住んでいるという場合には、テレビやラジオを録音してもらうこともできそうですね。 みなさん、いろいろ苦労しておられるようです。ある人は「やっぱり根気なんです」ともおっしゃいました。 どうしても見つからなかった場合はどうするか。男声のCDで練習することになりますよね。 【男性のお手本で練習する】 ○CDは聞くだけ 繰り返しになりますが、同じ調弦で歌っても、女性は男性の1オクターブ高い声で歌っています。女性は声が高いから、調弦も高くしたほうがいいだろうと、男性より高くすると、高すぎて苦しくなります。ですから、男性よりも低い調弦で歌うのが普通です。 その点を考えると、男性のお手本で歌うときには、調弦に注意して、無理に高い声でがんばりすぎないことでしょうね。 「そんなこと言ったって、CDが『C♯』で、私の三線が『B』だったら一緒に弾けないよ?」 そうなんです。無理です。ですから、CDは耳で聞く。聞いて覚えたら、ご自分に合った高さの三線を弾いて歌うわけです。きちんと覚えていれば、問題なく歌えるはずです。歌持を弾くことで、自然に「キーの変更」が頭の中でできてしまうのです。 ○パソコンでキーを変更 どうしてもCDと一緒に歌いたい。と思っている人もいますよね。そんなときに便利なのが、本日ご紹介するこれです!と言いたいのですけれど、私は持っていません。私が持っていなくても、作ってくれた人がいらっしゃるんですねえ。それがフリーソフト。 知人からの情報では、「音程」を変えることができる「フリーソフト」があるそうです。この二つをキーワードに検索してみてください。スピードを変えずにキーだけを変えられたり、キーを変えずにスピードだけ変えるという芸当ができるソフトが、無料で入手できるそうです。ありがたいことです。 ソフトのダウンロードをしなければならないこと。音源をパソコンに取り込む必要があること。そして、パソコンの前で歌の練習をすること(?)など、クリアすべき点はいくつかありそうですが、キーの違いに悩んでいる人にはとても便利なものだと思います。私は、パソコンについての知識が乏しいですから、もっと詳しい人に聞いていただくほうがよいでしょう。近くにそういう人がいない場合は、掲示板を探して書き込んでみてください。丁寧に教えてくれる人が、必ず見つかります。 ○高い声に合わせてみる そのまま男性の声に合わせて歌ってしまうというやり方もあります。 「キーが合わなくて困っているっていうのに、そのまま歌え?どういうこと?」 こういうことです。 CD(男声)の方が高すぎて歌えないという女性がほとんどですよね。もし、無理にCDに合わせようとすると、声が出ません。それでも出すとすれば?そうです。裏声です。 裏声で練習するとよい。そういう人もいますので、一度お試しを。練習しているうちに、けっこう高い声で歌えるようになるみたいですよ。 ただし、無理して、喉をいためないようにしてくださいね。 |