○工工四について

  1. タブ譜から工工四へ
  2. タブ譜工工四対応表
  3. 工工四の記号
  4. タブ譜と工工四の違い
  5. 工工四のリズム

タブ譜から工工四へ
 三線の伝統的な楽譜を「工工四(くんくんしい)」と呼びます。
 タブ譜は、簡単です。視覚的に「どの弦を」「どの指で」というのがわかるようになっています。しかし、残念なことにタブ譜は三線の世界では脇役です。
 最初から工工四でもよいわけですが、三線の楽しさを感じてもらうには、敷居はできるだけ低い方がよい。そんな考えから、タブ譜を使っていました。でも、広い世界を見たければ、タブ譜から工工四への移行は必要でしょう。



 みなさんは心の中で「ああ、またタブ譜で味わった苦労を・・・」と嘆いておられるでしょう。それは違います。
 実際の所、タブ譜を覚えるという作業はほとんど必要なかったはずです。努力が必要だったのは、弦を押さえたりはじいたりすることに慣れたり、勘所の位置を覚えたり、歌いながら演奏したりといった、技術面だったはずです。言い換えれば、「タブ譜に苦労した」のではなくて、「三線という楽器の演奏方法」に苦労したのです。みなさんはその苦労を乗り越えました。つまり、技術を身につけたわけです。その技術は工工四に移行しても、そのまま活かせます。構え方も、指の使い方も、勘所も、まったく同じなのです。覚えなければならないのは、「男弦0」=〈合〉といった、音と文字との対応だけです。

 無論、慣れることは必要です。タブ譜の世界にとどまる方が楽です。でも、どうか恐れずに、慣れるための努力を惜しまずに、工工四に挑戦してください。そうすれば、工工四という形式にまとめられた多くの三線音楽が、あなたに微笑みかけてくれますから。

 希望を胸に、伝統音楽の世界へ進みましょう。


ポイント→ 覚える数は多くない。







タブ譜工工四対応表

ここで気になるのが、「3」と「3♯」の問題です。工工四では、同じ文字を使って表されるので、見ただけではわかりません。それについては、別項にて。

ポイント→ 「1」「2」「3」と書いたシールを「乙・上・五」「老・中・六」「下老・尺・七」と書いたシールに貼り替えてもよい。








工工四の記号

 文字の大きさが音の大きさを表すとか、「○」は休みだとか、感覚的に理解できるものもあります。「声出し」「声切り」は、知らなくても歌を知っていればどこから声を出してどこまで伸ばすかわかりますよね。注意すべきは、「打音」「掛音」でしょう。

 「打音」をやってみますと、音が出ているのかいないのかわからないくらい小さな音です。でも、慣れると少し大きな音が出ますし、曲の中では前に鳴らした音の余韻が「打音」につながるような場合(例えば〈合〉の次に〈老’〉を鳴らす場合)にはよく聞こえます。

 「掛音」は、本来の弾き方とは逆に、爪を下から上へ持ち上げるようにして弦を引っかけて鳴らします。(図参照)しかも、爪は外に逃げる感じです。上の弦で止めたりしません。

 普通、掛音は小さな音でよい(文字が小さくなっている)ので、あまり一生懸命鳴らそうとしてはいけません。演奏者によっては、少し擦れたような音に聞こえる場合もあります。

ポイント→ タブ譜にはなかった記号なので、ここで覚えておく。







タブ譜と工工四の違い

 タブ譜では、三本の線が弦を、数字が使う指を表していました。工工四では、一つの文字でその両方を表します。〈五〉という一文字で、「女弦」「人差し指」という二つを表すわけです。覚えてしまえば、タブ譜よりも見やすいでしょう。

 もう一つ。工工四は縦書きです。これも、慣れで克服できます。


《注意》
 一曲の中に、全ての勘所が出てくるなんてありえません。使う文字(音)は、せいぜい十個程度。ですから、一度に全部覚えてしまうよりも(覚えられればそれでよいですが)、これから挑戦する曲に出てくる文字から覚えるという方が楽で、確実だと思います。

ポイント→ とにかく慣れる。







工工四のリズム

 次の練習曲『てぃんさぐぬ花』の一部です。本を横にして見ればわかりますように、リズムの考え方はタブ譜とまったく同じです。ここでも、タブ譜は無駄ではなかったと思えるはずです。


 (実際にこの曲を演奏する場合は、調弦を三下げにする必要があります。「三下げ」の説明は別項で)

ポイント→ それほど複雑なリズムは出てこないので安心して。