○構える
  1. 正しい構え
  2. バチ(爪・ピック)

正しい構え

正しい構え方を知っておきましょう。

  • 正座、あるいは椅子に腰掛ける。
  • 胴を右膝の上に乗せる。
  • 胴をお腹につけないで、10センチメートルほど離す。
  • 真っ直ぐ正面に向ける。
  • 棹の角度は四十五度〜少し低いくらい。
  • 脇をしめずに、ゆったりと。

 三線は、右膝と右手首で支えています。「左手を放しても、三線が倒れません!」と言いたいのですが、実際に演奏しているときには、左手にもある程度は棹の重みがかかっていると思います。ただ、右手に少し力を入れれば、いつでも左手がフリーにできるというのは本当です。最初は、左手を放すなんて無理だと思われるかもしれませんが、胴、膝(ひざ)、右手の位置が適当であれば、あとは慣れ次第で自然にできるようになります。

 左右の手の形は、後から詳しく説明します。

ポイント→ 弦を見たくて、三線を上向きにしてしまうことが多いので、強い意志で正面を向ける。

【左手親指の位置】

親指を棹の裏側に隠すようにしている人と、親指で棹の上から押さえるようにしている人がいます。どちらがよいのでしょう。

結論から書けば、親指の位置はどちらでもかまいません。

 

 A 裏側に隠すと
 ○親指の位置を意識しやすい

  演奏中に左手の位置がだんだん下にずれていく人がいます。親指をかくすことで、親指の先が棹に触れていますので、手がずれるとすぐに気づくようです。

 ○棹を強く握らなくなる

  棹は、左手に乗せるような感じ。握るようにしてはいけません。親指が棹の裏側にあれば、棹を握ることはできません。

 ×手首に角度がつきやすい

  棹を強く握ることができないというのは良いことなのですが、それでも握ろうとすると、手のひらを棹につけたくなります。親指を突っ張った形になるため、手首に角度がつきやすいのです。→正しい持ち方ができないのではありません。きちんと意識して練習すればできます。



B 棹の上から押さえると
○もっとも自然な持ち方
 普通、棒を持たせれば、親指と四本の指が向かい合わせになります。棹の下に四本の指、棹の上に親指という形が一番自然で無理がありません。

○棹が安定する

  軽く挟むことで、棹が安定します。

×手の位置がずれやすい

 〈尺〉や〈七〉の勘所を押さえようとすると、手が下にずれてしまいやすいものです。親指の位置も一緒に動いてしまうので、いつの間にか手が下にずれていて、〈上〉を鳴らしたつもりが全然違う音だった。ということもあります。→人差し指の付け根あたりを「定位置に戻す」という意識を常に持っていれば、大丈夫です。

 琉球古典の人は親指を隠さない。沖縄民謡の人は親指を隠す。という場合が多いようです。

 さて、あなたは「古典派」それとも「民謡派」?







バチ(爪、ピック)

(1)バチ

私は「つめ」と呼んでいますが、文字にしますと指の爪と混同してしまいますのでバチと書いています。お店にはいろいろな形、いろいろな大きさのものが売られているでしょう。下の写真では、見やすいように大きなバチを使っていますが、最初は小さなものが使いやすく、値段も安いでしょう。

 バチは、人差し指の延長だと考えましょう。親指の位置は、先端近くがよいでしょう。

 指を入れる穴の大きさは、三味線店で調節する(広げる)ことができます。小刀のようなもので、自分で削る人もいます。全体の形状を変える(先端を尖らせるなど)人もいます。

 伝統的な奏法を重んじるコンクールでは、バチでの演奏を義務づけているようですが、大きさの規定はないようです。

(2)ピック

 ピックには、硬いものと柔らかいものがあります。ゆっくりした演奏は柔らかいのが弾きやすいですが、早弾きには硬い方がよいようです。

写真の右端にあるのは「サムピック」と呼ばれる、親指に取り付けて使うものです。ピックの向きがずれたりしないので便利です。どれも100円程度の安い物がありますから、試してみるとよいでしょう。

ピックは、親指と人差し指で挟むように持ちます。

先端が、人差し指より少し出る(五ミリ〜一センチ)程度が良いでしょう。サムピックを使うときも、同様です。人差し指の延長として使います。ギターの世界では他の持ち方があると思いますが、この持ち方が三線のバチに近いと思います。これで練習しておけば、バチを使ってみたくなったときにも違和感が少ないでしょう。

(3)自前の爪

 自分の爪を少し(5ミリ程度)伸ばして、それで爪弾くと楽です。手の形や構え方は、バチもピックも自前の爪もほぼ同じです。

ポイント→ バチ、ピック、自前の爪。どれかで演奏することに慣れてしまえば、他のもので演奏することもそれほど苦にならない。