○調子について
調子について詳しく書いていますが、ここで全てを覚える必要はありません。「本調子」以外の曲を演奏するときに、このページを開いて調弦すればよいでしょう。


  1. 調子とは
  2. いろいろな調子
  3. 調子の変え方
  4. 一揚げ

調子とは

 調子とは
 三線を演奏する場合、曲によって調弦の仕方が違ってきます。調弦(調子)を変えると言った場合、二つの意味があります。

 (1)  
声の高さに合わせる=三本の弦全体の高さを移動する
 ある曲を「3C3F4C」で演奏したら、高すぎて声が出ないという場合、「2B3E3B」に下げることもできます。逆の場合は上げればよいわけです。カラオケで言うところの「キーを変える」という意味です。

 (2)   別の調子に合わせる=本調子以外の調子に変える
 三線は、曲によって調子を変える必要があります。先ほどチューナーの使い方で説明したのは「本調子(ほんちょうし)」です。「3C3F4C」も「2B3E3B」も、同じ本調子です。

ポイント→ 自分の声の高さを知り、歌うときには自分に合った高さにする。







いろいろな調子

 「本調子」の他に「二揚げ(にあげ)」「三下げ(さんさげ)」「一二揚げ(いちにあげ)」「一揚げ(いちあげ)」という調弦があり、「この曲は、二揚の曲」というふうに決まっているのが普通です。

 「わざわざ調子を変えなくても、全部本調子で演奏すればいいじゃないか」と、ギターを演奏する人ならば考えるかも知れません。曲によっては「本調子でも二揚でも演奏できる」というものもありますが、多くの曲は、それに合った調子で演奏することによって、指の動きに無駄が無く、美しい音で演奏できるのです。三線を演奏するなら、調子を自由に変えられるようになりましょう。

 それぞれの調子を表にしました。
三下げ 本調子 二揚げ 一二揚げ
調子笛 男弦 中弦 女弦 男弦 中弦 女弦 男弦 中弦 女弦 男弦 中弦 女弦
3D 3G 4C 3D 3G 4D 3D 3A 4D 3E 3A 4D
3C♯ 3F♯ 4B 3C♯ 3F♯ 4C♯ 3C♯ 3G♯ 4C♯ 3D♯ 3G♯ 4C♯
3C 3F 3A♯ 3C 3F 4C 3C 3G 4C 3D 3G 4C
2B 3E 3A 2B 3E 3B 2B 3F♯ 3B 3C♯ 3F♯ 3B
2A♯ 3D♯ 3G♯ 2A♯ 3D♯ 3A♯ 2A♯ 3F 3A♯ 3C 3F 3A♯
2A 3D 3G 2A 3D 3A 2A 3E 3A 2B 3E 3A
 三下げの一番上の段と、一二揚げの三段目を比べると、あら不思議。どちらも「3D3G4C」なんですね。その他も、二段違いで同じになっています。
 「三下げ」と「一二揚げ」は、全体の高さが違うだけで、各弦の音の関係は同じです。
 三線を弾く人と話をしていると、「今日は、四の二揚げで歌おう」などと言うことがあります。「四の二揚げ」は「3C 3G 4C」のことです。「四」というのは、邦楽で使われる音合わせの道具「調子笛」に書かれた数字です。「四」は「C」の音で、それから音が高くなると数字が増え、低くなると減るわけです。先ほどの「三下げ」と「一二揚げ」の関係を言い表せば、「六の三下げ」は「四の一二揚げ」と同じ。となります。
 最近では調子笛の数字で表さずに「Cの二揚げ」というように本調子の女弦(男弦)の音(アルファベット)で呼ぶ人も多くなりました。表をコピーして、チューナーと一緒に三線ケースへ入れておいてはいかがでしょうか。

ポイント→ 本調子、二揚げ、三下げ(一二揚げ)という調子があることを覚えておく。









調子の変え方
 本調子の曲を演奏して、次に二揚げの曲を演奏する。チューナーに頼ってもよいのですが、いちいちチューナーを取り出すのは面倒です。耳で合わせられるようにしたいですね。

(1)本調子から二揚げ

 @中弦で「1」の音(〈上〉の音)を出して、覚える。
 A中弦の糸巻きを巻いて、開放弦が@で覚えた音と同じになるように合わせる。

 これでOK。ちなみに、中弦の回転角度は30度ほどです。三線によって(弦の太さや使用状況)角度は違いますが、糸巻きを持ち替えてキリキリと回さなければならないほど大きな角度ではありません。

(2)本調子から三下げ
 @中弦で「3」の音(〈尺〉の音)を出して、覚える。
 A女弦の糸巻きを回して、開放弦が@で覚えた音と同じになるように合わせる。

 これでOK。ちなみに、女弦の回転角度は60度ほどです。こちらも三線によって(弦の太さや使用状況)角度は違いますが、糸巻きを持ち替えてキリキリと回さなければならないほど大きな角度ではありません。

(3)本調子から一二揚げ
 @まず、二揚げにする。
 A男弦で「1」の音(〈乙〉の音)を出して、覚える。
 B男弦の糸巻きを巻いて、開放弦がAで覚えた音と同じになるように合わせる。

ポイント→ チューナーを見ながら練習をして、手に角度を覚えさせるのも良い方法。







一揚げ

 「一揚げ」で演奏する曲は、八重山民謡に数曲みられるだけですので、一生弾かないという人も多いと思いますが、対応表を書いておきます。
 注意すべきは男弦の音の上げ方です。例えば「3C3F4C」の本調子を一揚げにする場合、男弦を「3D」にしたり「3E」にしたりしがちです。八重山民謡の一揚げは「3D♯」です。慣れるまでは、中途半端な音に感じるでしょう。

 
演奏時にも注意が必要です。
 @一揚げは、普通「左手中位(別項参照)」で演奏されます。
 A〈中〉と〈六〉の位置が本来の位置「2」と「1」の間(歌口から9.4cm)になります。
 もし、八重山民謡の一揚げの曲を演奏する場合には、以上の点に注意してください。


ポイント→ 一揚げは特別な調弦。勘所まで変わってくる。

本調子 一揚げ
男弦 中弦 女弦 男弦 中弦 女弦
3D 3G 4D 3F 3G 4D
3C♯ 3F♯ 4C♯ 3E 3F♯ 4C♯
3C 3F 4C 3D♯ 3F 4C
2B 3E 3B 3D 3E 3B
2A♯ 3D♯ 3A♯ 3C♯ 3D♯ 3A♯
2A 3D 3A 3C 3D 3A