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真壁型 | |||||||||
真壁型 丸みがあって、やさしい印象を受ける型です。上部の曲がり具合に、三味線店の特徴が出やすいと思います。 棹は細めと言うことになっていますが、現在販売されている三線のほとんどが真壁だということを考えると、これを基準にして、与那城、知念大工、久場春殿は太い方。南風原、久場の骨を細い方とすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 音については、私自身が型による違いを実感できていないのですけれど、一般的には真壁を含めて細い棹は音が細く、太い棹は音も太いとされています。 三線の中でも「開鐘」と名付けられたものは名器だということになっています。基本的には、開鐘はすべて真壁型だそうです。
今度三味線店で真壁を見たら、「あ、真壁だ」だけではなく「この真壁、顔が少し細いけど、すっきりしていていいね」「ああ、チマグのラインがきれいだなあ」「天のたまい(曲がり)がちょうど良い感じ」なんて言えるかもしれません。 |
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与那城型 | |||||||||||||||||||||||||||||||
与那城型(ゆなぐしく・ゆなー) 最初に買う三線が真壁型なら、次は与那を買う人が多いのではないでしょうか。 三味線店に行くと、安い三線はほぼ間違いなく真壁型です。与那の三線には、あまり安いものはないと思います。与那を求める人は、ある程度三線を弾いているでしょうから、質の方もある程度のレベルをクリアしているものでないといけないのでしょうね。 『沖縄の三線(沖縄県教育委員会編集)』の説明を見ます。
では、この説明をもとに形を見ていくことにします。
音について 本来、与那の胴は真壁に比べてやや厚く、大きめの物を使うようです。この場合、音もどっしりとした太い音になるでしょう。しかし、真壁の胴を流用している場合もあり、「棹が与那だから、こういう音」といった、ハッキリとした説明は難しいようです。 |
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南風原型 | |||||||||||||||||||||||
南風原型 「往昔の世、素、三絃有り。未だ何れの世にして始まるかを知らざるなり。近世に至り、南風原なる者あり。善く三絃を製す。・・・」 『球陽』(沖縄の正史。年代順に記事が書かれているそうです)の1710年の記事だとか。私には読めませんので、上の文章は『沖縄の三線』からの孫引きです。 この記事から、南風原型は三線の中でもっとも古い型であるというのが通説となっているようです。 細く、やせた印象です。上部の曲がり方が浅く、のっぺりした顔です。久葉ぬ骨と共通する部分が多いようです。久葉ぬ骨の方が、天の湾曲が浅いと聞いたことがありますが、私にははっきりと区別できません。 黒檀を使っても、比較的軽い三線に仕上がるはずですので立って演奏するのには好都合でしょう。 『沖縄の三線』の説明を見ます。
実物を見ながら、説明しましょう。
三線工・又吉真栄氏(故人)の「随想」という小さな本が手元にあります。そこに「南風原型は明澄な音が出るよう十分研究されている」と書かれています。氏の研究では、南風原型と久場春殿型は、高音域(勘所の〈九〉以上の音)も明澄な音が出るように、トゥーイが徐々に下がっているのだそうです。他の型では、高音が出せないという意味ではないのでしょうけれど、特にこの2つの型は、高音についても十分配慮されていると感じられたのでしょう。 |
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久場春殿型 | ||||||||||||
久場春殿型(くばしゅんでん、くばしゅんでぃん) この三線だけは、見分けがつかないはずがないというくらい個性的です。 『三線の話』(宜保榮治郎・ひるぎ社)におもしろい話が載っていました。著者は、久場春殿を「よく鳴る」と評価しているのですが、先輩から「久場春殿を弾くな。あれを弾くと、弾いている人までブックェー(無粋)になって見えるので」と言われたそうです。無粋と見るか、個性的と見るか、人それぞれでしょう。 もう一つの話。遊郭では久場春殿が武器(棒)の代わりになったそうだ。とあります。私がある三味線店で聞いた話は違っていました。男性が、毎夜三線を勉強して家に戻るとき、不良にからまれます。肩をぶつけられたり、腕をぶつけられたりするのを、持っていた三線で受けて棹を折ってしまった。そこで、太い棹にして、芯も折れないように特別太くした(段を作った)。そのおかげで、三線が折れる心配はなくなった。 どちらもおもしろい話ではあります。 では、『沖縄の三線』の解説を見ながら説明しましょう。
形を見ていきましょう。
どんな音がするのか、試す機会に恵まれていません。 いろんな型をコレクションしたい人には、一つほしい型でしょうね。 |
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久葉ぬ骨型 | ||||||||||||
久葉ぬ骨型(くばぬふにー) 「久葉の骨」と書こうか「久葉ぬ骨」と書こうか、迷いました。「ぬ」にしました。 一番細い型です。とにかくとっても細ければ久葉ぬ骨と言ってもよいでしょう。 『沖縄の三線』から、説明です。
県指定の文化財となっている久葉ぬ骨と、現在三味線店が製作している久葉ぬ骨とは、趣が違っていると思った方がよさそうです。これは、南風原との差別化を図っていることと、「久場春殿の作」という話、あるいは「久葉ぬ骨」という名称から、久場春殿型により近づいている(太さは対極にありながら、天の形が似てきている)ためなのかもしれません。 形を見ていきましょう。
とにかく、軽い三線になります。立って演奏するには好都合でしょう。 |