GO MOUTH HERE MOUTH 歌が先か、三線が先か
 よく、尋ねられるのがこれです。

歌を覚えてから、三線を練習するのがよいか。三線が弾けるようになってから、歌を練習すべきか」

 今から三線の練習を始めようと思っている人は、まず、三線の練習から始めるべきです。理由は簡単です。やりたいことが、三線の練習だからです。三線を弾きたくてしかたのない人に、「三線は横に置いて、歌を覚えなさい」なんて言ったら、やる気無くしますよ。独学でも、先生に習っている人でも(先生に習っているなら、先生の言うこと聞くべきですが)とにかく、工工四を見ながら三線が弾けるようになってください。たいてい、入門用に使われる練習曲は、三線のメロディーと歌とがほとんど同じになっていると思います。もし、知らない曲であっても、三線の練習をしている間に、おおよそのメロディーがつかめてくるでしょう。そうしたら、今度は弾きながら歌えるように少しずつ練習していけばよろしい。一気に最後まで歌おうとしないで、区切って練習しましょう。『新安里屋ゆんた』なら、「さーきーみはのなかの」までを歌えるように。それでもむずかしければ「さーきーみは」まででもいいです。そこまでできたら、次はここまで。その次はあそこまでと、少しずつ先に進めばよろしい。

 では、2曲目は?
 2曲目も、三線からやってみましょう。3曲目も、4曲目も三線をまず弾いてみましょう。何曲か弾きながら歌えるようになるまでは、とりあえず三線から手をつけてみれば良いでしょう。

 慣れてきますと、知っている曲なら、工工四を見ないでもある程度弾けるようになってきます。そうなってきた頃には、どちらが先か、なんて考えなくなっているはずです。


 指導者の中には、「三線よりも歌が大切だから、まずCDをよく聞いて歌を覚えなさい」などと教えてくださる人もいると思います。そういった指導者は、知っている歌なら歌に合わせて三線を適当に弾けてしまう人です。そこまで上達しますと、歌が先か三線かといった順序など意味がないのです。肝心なのはその曲を「知っているか知らないか」だけです。歌を覚えることだけで、その曲をレパートリーの一つにできてしまうわけです。また、早弾きの曲などは、三線に合わせて歌うというよりも、歌に合わせて三線を弾くという感覚になります。この場合は、まず歌を覚えておかなければ三線の練習をしてもあまり意味がないと感じるでしょう。ただ、ここまでできる人ならば、自分の練習方法が身についているでしょうね。


 まとめるとすれば、

1,初心者は、まず三線から
2,慣れれば、どちらが先かを考えなくなる
3,早弾きは、まず歌(曲)を知っておかなければ三線の練習ができない

 となるでしょう。
 あとは、「三線をもっと美しく演奏したい」と思ったときには、歌わずに三線だけを。「自分の歌の間違いを正したい」と思ったら、歌だけを練習する。というように、自分の課題に合わせた練習が必要でしょう。

 2008,8