GO MOUTH HERE MOUTH 第二回 泡盛コンクール 
 
 泡盛コンクールは、自分で育てた泡盛を持ち寄って1位を決める「泡盛コンテスト」と、7つの銘柄の泡盛に挑む「利き酒王選手権」の二部にわかれている。

 まず、「泡盛コンテスト」
 第一回では、一升瓶に入ったまま部屋に放置されていた春雨を持ってきた森畑氏が優勝した。二位の別井氏は、自作の甕に貯蔵した泡盛。得票は僅差だった。このとき、他の泡盛はすべて甕貯蔵(さすがに、甕まで自作したというのは別井氏だけ)だったのだ。居並ぶ甕貯蔵を押さえて、ビン貯蔵(放置?)が一位。私たちは思った。

 「ひょっとして、甕貯蔵よりビンの方がいいの?」

 第二回泡盛コンクールで、その答えに近づけるかもしれない。

 こちらが参加者のみなさん。 今回の参加者は6名。うち、5名は前回に続いて二度目の挑戦。1名は初参加。
〜泡盛コンテスト〜
 まずは、参加者各自で名札作り。

 名札を作っていただいている間に、出品泡盛を集めて容器に移し替える。どの容器がだれの泡盛かをわからなくしてから優勝の泡盛を決めるのだ。

 名札を付けたら、自己紹介と泡盛の紹介をしていただいた。


 「古酒作りは、甕だ」

 甕で古酒を育てている人なら、こう言いたいはずだ。ガラスビンよりも熟成が早く進むとか、甕の成分が古酒によい影響を与えるとか、空気に触れることができるのがいいのだとか、仕次ぎによっておいしい古酒を飲み続けることができるとか。いろいろ理由を挙げる人はいる。どれも正しいと思いたい。ビンを置いてあったのではなくて、甕で育てた泡盛が一番だと言いたいに違いない。

 前回の優勝者は、ビンに入った泡盛を放置していた森畑氏だ。前回「ビン」で優勝しているのだから、今回のビンで来ると考えられる。しかし、他の参加者は違う。ビンで勝っても喜べないはずだ。「甕で育てた泡盛」を優勝させたいに違いない。
 出品泡盛の説明を聞く。
 初参加の後田さん。ひょんなことから入手した「陶器に入った古酒」だ。シーサーの容器がお気に入りだと言う。
 森氏は甕で育てたもの。持参したビンにも少々泡盛が入っていたそうだが、甕から汲み出した泡盛主体だそうだ。
 奥村氏は、前回、米の倉庫に置いていた古酒が「米ぬか臭くなっていた」という反省から、別の場所で長期保存していた甕の泡盛を出品。
 森畑氏。今回もやはりビン貯蔵(放置)で挑む。ただ、「同じ泡盛ではおもしろくないから」と、銘柄は同じ「春雨」だが、違うものを持ってきたという。「前のは、先代の社長が作ったもの。今回は3代目が作ったもの」という説明だった。
 規矩氏は、前回と同じ甕貯蔵の泡盛を出品。ただし、前回のコンクールから今まで仕次ぎを続け、手塩にかけて育て続けてきたという。
 やはり、森畑氏以外はビンではなく甕で挑戦したいという気持ちが強いんだなあ。と思っていたら、なんと、盛原氏がビンの泡盛を持ってきたと言うではないか。
 「甕から汲み出して持ってこようとしたんですよ。でも、仕次ぎ用のビンの泡盛が、甕の方よりおいしかったんです。ビンの方がおいしいとわかっていて、甕の方を持ってくることはできませんでした」
 これに、主催者が甕貯蔵古酒を出品。計7つの泡盛が並んだ。 
 これが結果である。

 優勝は、1位の評価を3名から受けたDの泡盛。規矩氏に決定。古酒としての熟成感もあり、非常に飲みやすい泡盛に育っているという評価だった。もっとインパクトを求める人が、やや低い評価をしたようだ。

 前回はビン。今回は甕熟成が優勝。もし、今回もビンが優勝していたら、この先、甕熟成の泡盛で参加する人がいなくなってしまうのではないか。などという心配もされたが、規矩氏の優勝は甕熟成の可能性を証明してくれた。のかもしれない。

優勝した規矩氏
 CEFGも健闘している。特に、Gは1位評価は無いが2位評価が5名と3位評価1名。泡盛コンテストでは、「1位評価の多い泡盛が優勝」ということになっている。もしポイント制だったらGが優勝ということも十分にあり得た。そのGは、盛原氏のビンの泡盛だった。

 評価が低かったのはAとB。
 後からわかったことだが、Bは35度の泡盛だったのが、30度程度に下がってしまっていた。「香りはすばらしいけれど、パンチがなかった」という評価も頷ける。
 Aは、主催者の泡盛。「古酒らしい丸みがない。まだ古酒になっていないような感じ」と評されたが、実は20年近くたった泡盛なのである。なのに古酒らしくない・・・育て方に問題が?それとも甕が悪いのか?
 
〜利き酒王選手権〜

 そして、「利き酒王選手権」
 第一回では、全問正解者は出なかった。今回はどうか?
 利き酒王選手権に使用する泡盛を決めるのは主催者である。前回と同じ泡盛ではおもしろくない。普段はあまり飲まない(飲めない)ような泡盛で、特徴のあるもの・・・そうだ、甕貯蔵を集めてみよう。そう考えた。

 今回のラインナップは、こちらの泡盛たち。ご覧のように、甕貯蔵を主体にしてある。
忠孝
忠孝酒造(豊見城市)
43度8年古酒(8年70%22年30%)
2010泡盛鑑評会県知事賞受賞
玉友
石川酒造場(西原町)
42度 甕仕込み甕貯蔵
2010泡盛鑑評会県知事賞受賞
瑞泉
瑞泉酒造(那覇市)
41度 限定243本
2010泡盛鑑評会県知事賞受賞
球美
久米島の久米仙(久米島町)
43度 甕貯蔵18年古酒
龍泉
甕貯蔵熟成古酒 龍泉酒造(名護市)
43度 700本限定
千年の響
今帰仁酒造(今帰仁村)
43度7年古酒 甕壺貯蔵
珊瑚礁
山川酒造(本部町)
42度 1998年蒸留 甕貯蔵

 甕貯蔵は、個性が出やすい。この「珊瑚礁」などは、甕番号まで付記されている。同じ酒でも貯蔵する甕が違うと味が変わってくるというわけだ。
 今回、甕貯蔵を中心に集めたことによって、個性的な泡盛がそろったと言えるはずだ。利き酒はやりやすくなるのではないか。主催者は「全員が全問正解だったらどうしよう」と心配していた。
 結果はこちら

 4問正解者3名(奥村氏、森畑氏、盛原氏)
 1問正解者3名

 優勝者は1名にしたい。ということで、急遽延長戦を行うことに。
 7つの泡盛の中から主催者が一つを選択。猪口に注いで3名に差し出して飲んでいただく。その銘柄を言い当てるというもの。

 1回目=全員不正解。「ああ、そっちかー。迷ったんだよなー」と悔しがる盛原氏と奥村氏。
 その後、4回続けるもすべて不正解。ここまでに飲み続けてきたのが祟ったのだろう。最後にもう一度挑戦していただき、これでだめなら3名優勝!ということにしたら、本当にだめでした。
 結局、3名優勝!

 こうして、第二回泡盛コンクールは終了しました。いい大人が、ワイワイ言いながら馬鹿なことに真剣に取り組むという、なんとも楽しいあつまりでした。

 帰り道。

 「それにしても、甕で古酒を育てるのは難しいなあ」
 「ビンの方が優勝狙えそうですもんね」
 「うーん。でもねえ、それは寂しいんだよなあ」
 「そうなんですよ。甕で育てて、いい古酒になっているね!と言われたいですよ」
 「あのね、昔はガラス瓶が無かったから、甕で貯蔵するしかなかったんですよ。今はビンがある」
 「それも一理あるかも」
 「次はビンで行きましょうかねえ」
 「でも、甕で勝ちたい。甕に勝ってもらいたいんだよねえ」

 泡盛談義は、尽きないのでありました。