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与那武岳かにすざがま(宮古)    
 「かにすざ」に「金兄」という文字を当てることもあるようです。男性の名前です。

 「与那武岳(ゆなんだき)抱きみぶす かにすざがまよ」(与那武岳の、抱いてみたいかにすざ)
 とか、
 「狭道(いばんつぃ)がまんな いでゃいやみぶす」(狭い道で出会いたい)
 といった、女性側の言葉で始まるところが、なんともおおらかでおもしろいです。
 宮古や八重山の古い歌は、同じ意味の言葉を2度繰り返す形が多いのですが、この歌はそのような形をとっていません。4番以降は、男性との会話の形になっていて、まるでお芝居を観ているかのような内容です。

 CDを聞いたときには、このような歌詞の意味はまったくわかりませんでした。でも、歌ってみたいと思わされたのは、「宮古の歌を10曲!」という目標があったことと、この歌のメロディーのおもしろさのためでした。

 いわゆる「左手中位」の曲に入れてよいと思うのですが、歌持(早弾き)の部分が、
〈中尺工六工尺中合四工四老上合上尺上老四老合老四工〉となっているんです。
赤の部分が「左手中位」=〈上〉〈五〉を使わない
青の部分が「定位置」=〈中〉〈六〉を使わない
という変則的な形です。
 歌に入ってからも、
「与那武岳(ゆなんだき) 抱きみぶす かにすざがまよ (サーサー)
 ササガヨーヌ ヒヤルガヒ サーサユイサガユイサ」
といった変化があります。
 さらに7番以降は、歌詞が長くなるという変化もついています。ほんの少しの変化ですが、ここがまた楽しいです。ですから、どうしてもCDに録音されている9番まで覚えたくなります。

 演奏してみると、先ほど色分けしましたように「左手中位」から「定位置」へ頻繁に移動することになります。あまりにも面倒ですので、すべて「定位置」で演奏することにしました。(たぶん、他の人もそうしていると思います)
 「左手中位の〈尺〉」は、歌口からの距離でいいますと、〈七〉と同じです。
 一方、「定位置の〈尺〉」はそれよりも少し遠い(高い)音にしたい。それらを同じ小指で弾き分けるよりも、「左手中位の〈尺〉」は薬指で、「定位置の〈尺〉」は小指で、という使い分けをするほうが音が安定しますし指を楽に使えます。

 最近、やっと楽しみながら演奏できるようになってきました。が、宮古の歌です。言葉がむずかしい。発音のテストはまだ受けていません。それも楽しみです。

2003,9