うっじゃがんま(宮古) |
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うっじゃ=鶉(うずら)、んま=母親です。
多良間島の童謡だそうです。もちろん、三線伴奏はありません。
手元のCD「南海の音楽/八重山・宮古(KICH2026)」には、歌い手の名前に「浜川春子」さんと書かれています。たいへん若い声で、発音も明瞭です。八重山民謡の歌手ですと、口の開け方があいまいな場合が多くて、発音もそれほど明瞭とはいえないと思うのですが、こちらはたいへん聞き取りやすい。そういえば、宮古民謡の「國吉源次」さんも明瞭ですね。
「浜川春子」さんの歌を聴いて、あまりにもはっきりとした発音だったものですから、県外の童謡の歌手かと思ったほどですが、最後まで聞いていると「多良間島の人に間違いない」と思いました。県外の人には難しい発音を完璧にこなしています。まあ、島の人にとっては難しい発音ではありませんので「こなす」という言葉は変ですけど。とにかく、みごとな発音です。お手本にしてます。
『うっじゃがんま』の歌詞です。
鶉(うっじゃ)が母(んま)よ 卵(とぅぬか)が母よ
野火(ぬぶぃ)ぬ出(いでぃ)りば 焼火(やくぶぃ)ぬ出りば
じゅべーたとぅばがら じゅべーたまやがら
うヴぁとぅばがらだ うヴぁまやがらだ
片羽(かたぱに)が焼きとぅむ 二羽(ふたぱに)が焼きとぅむ
我(ば)が子(ふふぁ)とぅとぅみ 我が卵(くが)とぅとぅみ
*
とぅとぅみぬ美(かぎ)しゃ うがかぎしゃとぅとぅみ
海(いむ)つぃどぅるぃがまよ 浜(ぱま)つぃどぅるぃがまよ
白浜(すすぃぱま)ぬんなかん 美浜ぬんなかん
ぶどぅるぃがましっさい とぅぬぐぃがましっさい
ぶどぅるぃがまぬ美しゃん とぅぬぐぃがまぬ美しゃん
うるみやしゅんしゅん かるみやぬずぃんぬずぃん |
☆子(ふふぁ)=「ふぁ」の前に「f」をつけたような音
☆白浜(すすぃぱま)=「すぃ」の前に「s」をつけたような音
あまり知られていない歌ですので、声楽譜も作ってみました。
歌詞の「*」より上は(A)で、下は(B)で歌います。
(A)(パッカパッカと、弾むように)
中 |
尺 |
工 |
工 |
工 |
工 |
尺 |
ー |
中 |
尺 |
工 |
工 |
工 |
工 |
尺 |
ー |
う |
っ |
じゃ |
が |
ん |
ま |
よ |
ー |
とぅ |
ぬ |
か |
が |
ん |
ま |
よ |
ー |
(B)(ゆったりと伸して)
工 |
六 |
七 |
工 |
尺 |
ー |
尺 |
四 |
とぅ |
とぅ |
み |
ぬ |
か |
ー |
ぎ |
さ |
うが |
か |
ぎ |
しゃ |
とぅ |
ー |
とぅ |
み |
*「ぎー」の音は〈中〉の方が自然かと思いましたが、CDでは〈尺〉でした。これも味わいがあります。
我が家でうずらを飼っていました。親友(多良間出身)が遊びに来たとき、うずらを見て懐かしがっていました。子どもの頃、島でよく捕まえたのだそうです。多良間でも石垣でも、野生のうずらが畑にいるんですよ。
彼がうずらのそばへ行きますと、それまでおとなしかったうずらたちが大暴れ!それを見て、
「うーん。どうやらうずらの遺伝子には、多良間の人は危ないと刷り込まれているらしい」
と腕組みしていました。
彼はうずらにどんなひどい仕打ちをしてきたのでしょう。
・・・食べたのかなあ。まあ、人は多くの命をいただいて生きているわけですから。
2003,10 |
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