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オバー自慢の爆弾鍋(ポップス)      
 ある日、大坂の知人からメールが届きました。三線のサークルに入って、ずっと練習を続けている人です。近況報告の後、こんな質問が。

ところで…ビギンの「オバー自慢の爆弾鍋」の歌詞の中に

「次男は大学行かしたど」

とありますが、これには何か深い意味があるんでしょうか?
長男は大学に行かないんですか?
インターネットでこの曲のレビューを見ていたら

「沖縄の人にしかわからないフレーズ」

と書いてあったので謎は深まるばかりです。

 恥ずかしながら、「オバー自慢の爆弾鍋」という歌をよく知りません。聞いたことはあると思いますが、歌詞はまったく記憶にありません。しかし、質問には答えなければなりません。このように返事を書きました。

「次男は大学行かしたど」

沖縄の人は、この言葉を見ただけで、その家族の構成や経済状態がわかる。

そんなはずはありません。

まあ、私がこの言葉から想像できるのは、
長男は、大学へ行きたかったけれど、家計を支えるために就職し、
そのおかげで、次男は大学へ行けた。
つまり、家族の結びつきの強さと兄弟愛がわかる。ということでしょうか。

たしかに、沖縄ではきょうだいや親戚が助け合うということが多いようです。そのために、生命保険に入る人が少ないと言われていました。
でも、今はどうでしょうねえ。
それに、沖縄県外でも(大阪でも)、きょうだいや親戚が助け合うってことが、あたりまえだった時代があったと思いますよ。

と、勝手に想像していますが、その歌詞を知りませんので、
まったく的はずれな解説をしているかもしれません。
できれば、歌詞を教えてください。

 歌詞の解釈をすべきなのに、余計なことをたくさん書いてしまいました。私は、「沖縄の人にしかわからない」といった表現が、あまり好きではありません。それで、こんな文章になってしまったのです。

 翌日、知人から返事が届きました。その最初に、こう書かれていました。

最初この歌を聞いたとき、一行目の歌詞に衝撃を受けました。

 歌詞の最初の一行とは、

 『オバーの鍋は 畑で拾った不発弾よ』

 というものでした。知人がこの一行から受けた衝撃とは、どういったものだったのでしょう。

 不発弾という言葉とそこから想像される沖縄戦。
 戦争が終わっても不発弾が畑に転がっている光景。
 それを生活に利用してしまう「オバー」のたくましさ。

 知人の受けた衝撃は、私には分析できないくらいもっと複雑で深いものだったかもしれません。とにかく、歌詞一行から衝撃を受け、さらに「次男は・・・」に疑問も持つことができた知人の感性はすばらしいなと思ったのです。

 さて、歌詞を教えてもらいまして、全体を眺めてみますと、どうも私の解釈は的はずれだったようです。次のように返事を書きました。

この歌詞からは、「おばー」の夫と長男が戦死したと受け取れますね。
だとすれば、先日のメールに書いたような、
長男が大学を諦めて就職し、次男を大学へ。
というストーリーよりも、
夫と長男が戦死したけれど、
女手一つで次男は大学へやることができた。
という方がしっくりきますね。

 知人からのメールの最後には「歌詞もステキですが、イントロの三線もカッコいいですよ。機会がありましたら一度聞いてみてください」と書かれていました。知人に会う機会がありましたら、その時に歌ってもらうことにしましょう。