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浜千鳥(琉球舞踊)       
 浜千鳥と書いて「ちぢゅやー」と読みます。と思っていたら、『琉球舞踊』(沖縄県文化振興課発行)には、「はまちどぅり」とふりがながあり、解説の中で『方言では「チヂュヤー」と呼ぶ。』と書かれていました。

 琉球舞踊といえば、あの紅型衣装に花笠。という姿が思い浮かびます。浜千鳥は紺の絣(かすり)をウシンチー(外から帯を締めるのではなく、下着の帯にはさんで着る)という、たいへんシンプルな衣装です。いわゆる「古典舞踊」では、宮廷舞踊らしく紅型や振り袖、陣羽織、紋付きなどが多いのに対して、浜千鳥など「雑踊り」では、絣、芭蕉布など庶民の生活からとりあげられた衣装が多くみられます。
 私には、後者の方が上品に感じられますが、いかがでしょう。

 浜千鳥の所作は、比較的簡単(どんなに簡単に見える舞踊でも芸術の域に達するのはむずかしい)です。簡単なわりに、「こねり手」や「おす手(押す手)」が随所に出てきますので、沖縄的な雰囲気を伝えるのにはうってつけの踊りといえそうです。
 そのためでしょうか、結婚披露宴の余興でもよく見られる踊りですよね。しかも、男性4名で踊り、あからさまに「笑い」をねらっていたりして。

 実は、私もごく身内の宴会で、浜千鳥を踊ったことがありました。踊ったといいましても、友人から1番の振り付けだけを習って、それを4回繰り返すというだけ。踊り手は二人だけ。しかも、相方はひげ面の大男という、「笑い」をねらうどころか、見ている人が引いてしまうようなものでした。

 もともと、琉球舞踊は男性のものだったようです。宮廷舞踊は「教養」「芸術」であり、それがたとえ女踊りであっても男性のものだったのです。戦前までは、まだ男性が普通に踊っていたようです。ところが、その後舞踊はほとんど女性の世界になってしまいます。男踊りまで女性がやることが普通になってしまい、立場は逆転。
 そのせいで、と責任を女性になすりつけてはいけませんが、私は「赤馬節」や「若衆こてい節」などの若衆(わかしゅう)踊りの赤い衣装を見て、女性の踊りだと長い間信じていました。それが元服前の若い男性だったと、初めて知ったときはショックでしたねえ。ま、踊っている人は女の人だし、いいか。って、何がいいんでしょう。

 近年、男性舞踊家が目立つようになってきました。まだまだ少数のようですが。
 みなさんは、男女どちらの踊りが見たいですか?なに?芸術性が高ければ、性別は関係ない?そりゃあ、そうですよね。踊りは芸術です。よね。

2003,6