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エイサー(沖縄)        
 「エイサー」という、一言で片づけてしまうと反感をかうかもしれませんね。
 それほど、エイサーは地域色の濃いものです。

 歌三線に合わせて、太鼓を打ち鳴らしながら、あるいは手踊りで、豪快に、かつ優雅に踊る姿には、県外の人もあこがれるようです。見るだけでは飽きたらず、自分も踊ってみたいということで人が集まり、県外のエイサーグループがたくさんできているようです。三線を始めた人の中には、エイサーをやっていて、地謡に憧れたから。という人もいるくらいです。
 大阪の知人が、平敷屋エイサーのグループに入って踊っています。平敷屋出身の方を中心に集まり、故郷を遠く離れた大阪で平敷屋エイサーを踊っているわけですが、このような「発祥の地」がはっきりしているエイサーを踊っている人は、県外ではめずらしいかもしれません。たいていの場合、エイサーを趣味でやっている団体から教えてもらったものや創作の部類に入るものでしょう。
 そのようなエイサーを、「エイサー」と呼ぶことに抵抗を感じている人もいると聞きます。また、お盆でもないのに、エイサーを踊ることにも異議を唱える人がいたようですが、今はそのような声を聞くことはほとんどありませんね。
 ただ、伝統的なエイサーのビデオを見て、勝手に真似するというのはやめてほしいです。信仰がからみますので、やはり、その地域の人々の心情を考えてほしいです。

 舞台の上やスクリーンでは、演劇や映画のストーリーに欠かせないものとして、フィクションで結婚式やお葬式が行われることがあります。それを含めた作品を芸術として認めているのが現代なのですから、お盆でなくても、エイサーを踊って、それを芸術と評価することは間違ってはいないでしょう。また、信仰ではなくて、地域振興のために演じることも認めるべきだろうと思います。
 と同時に、本物の結婚式やお葬式があるように、本物のエイサー=地域の信仰に基づいたエイサーも継承されていなければならないと思います。

 その、本物を見たいと思って、昔、バイクを走らせたことがあります。エイサーは、道を歩きながら踊っていることが多いので、車で見に行くと駐車する場所がなくて困ります。その点、バイクは便利です。

 太陽は沈んだけれど、まだ空に明るさが残っているころに、沖縄市から、勝連半島方面へ走りました。時々、バイクを停めてヘルメットをとり、耳を澄ます。すると、遠くから太鼓の音がします。方向を見定めて、そちらへ向かってまた走る。
 そんなことを繰り返しながら、3つほどのエイサーを見ることができました。夕闇迫る村の道を、汗を流しながらエイサーを踊っているみなさんを見ると、伝統を受け継ぐ若いみなさんの心に触れたような気持ちになりました。
 同時に、そのエイサーを見るために集まっている人々、孫の手を引いたおばあさん、若いカップル、家族連れ、楽しそうな笑顔も印象的でした。

2003,8