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ちんぬくじゅーしー(沖縄)
童謡ということで、よいのでしょうね。
「じゅーしー」を「ジューシー」と書くと、おいしそうに見えるかもしれませんが、それは意味が違います。
あんまー たむのー きぶとんどー
きぶしぬきぶさぬ なだそーそー
よいしーよいしー なーくなよー
ちゆーぬゆーばん ぬーやがてー
ちんちん ちんぬくじゅーしーめー
おかあさん 薪が 煙っているよ
煙が煙たくて 涙が出る
よしよし 泣かないで
今日の夕ご飯は なんだろうな
ちんちん ちんぬくじゅーしーめー
伸す音が多いです。「なーくな」などは言葉の意味で表せば「なくな」でいいんですけれど、歌うときの雰囲気を出すために「ー」をつけています。
「ちんぬく」は「里芋」のこと。「じゅーしー」は炊き込みご飯のことです。
学生のころに、先輩(女性)がこの歌を歌ってくれたとき、びっくりしました。「ちんちん」という言葉。最初は、歌を知らない私をからかって、何かの歌を替歌にして歌っているのかと思いました。何でも先輩に尋ねる私も、この意味を尋ねる勇気がなかなかわかなくて。でも、意を決して尋ねてみると、先輩はごく普通の顔をして、
「イモよ。食べたことないか?」
と答えてくれたのです。先輩の表情と言葉の雰囲気から、これはからかわれているのではなくて、本当にこういう歌があるんだと理解しました。今では普通に歌えてしまいますが、当時はなかなか歌えませんでしたよ。
方言の勉強になる歌です。野菜の名前が出てきます。
しぶい=冬瓜
ちんくゎー=カボチャ
ちでーくに=にんじん
この「ちでーくに」という言葉が、中国風でおもしろいと思いました。沖縄方言で「でーくに」は「ダイコン」のことです。「ち」は「黄」です。つまり、にんじんを「黄大根」と言っているわけです。沖縄では、黄色いにんじんがよく見られます。最近は赤いのに押され気味でしょうか。
ところで、中国語の「人参」は高麗人参や朝鮮人参のようなものを表すそうです。私たちがよく見る「赤いにんじん」は、中国では「だいこん」をあらわす言葉(漢字)が使われているようですね。つまり、沖縄方言も中国語も「にんじん」を表す言葉に「ダイコン」が含まれています。おもしろい共通点だと、私は思っています。
歌の話に戻りましょう。
とても綺麗な旋律で、歌われている内容も農村の家庭を彷彿とさせる暖かい雰囲気があります。三線伴奏で歌っても、とてもいい曲ですよ。『てぃんさぐぬ花』に負けないくらい有名な歌でもあります。
他に、有名な童謡で「いったーあんまーまーかいが」というのがあります。どちらも「あんまー」が登場しますが、歌のイメージは随分違います。違いは、CDを聞いていただくとしましょうか。沖縄の童謡を集めたCDがありますので。
あの『涙そうそう』が流行ったときに、どうしてもこの『ちんぬくじゅーしー』を思い出してしまう。というのは、私だけでしょうかねえ。でしょうね。
2003,12