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赤山節(沖縄)       
 『海ぬちんぼーら』に続けて歌われたり、舞踊『むんじゅる』の最後に歌われることもある『赤山節』です。
 カナダにお住まいのかたから、『海ぬチンボーラ』と『赤山』の歌意について質問のメールをいただきました。書籍を調べてお返事しましたが、そのときに『赤山』の歌詞で一つ発見しました。(『赤山』は『赤山芋節』と書かれていることもあるようです)

 赤山ぬへさちヨ
 すらにむでぃくゆい (ヤリクヌ)
 でぃ我んねー思里とぅ
 けむでぃくらな

 この「すら」を「空」と考え「(蔓が)空に向かってもつれ合って伸びていく」という様子だと考えていました。

 赤山芋の蔓の先は
 空にもつれ合って伸びてゆく
 さあ、私も愛する彼と
 抱きついて離れまい

 ところが、『琉球芸能事典』(那覇出版社)に書かれた歌詞では「すら」に「梢(こずえ)」の文字を当てていました。
 梢を「すら」と呼ぶのか?調べましたら「スーラ」という言葉がありました。おもしろいのは、「スラ」は「空」の意味と、「恋人」という意味の二つがありました。

 「すら」を「空」と考えると、「空に向かって二本の蔓がもつれ合って伸びる」様子を思い浮かべます。二人とも蔓です。この場合「すら(空)」は、伸びていく方向であって、それ以外の意味はありません。
 「すら(スーラ)」を「梢」と考えますと、一本の蔓(私)が梢(彼)に巻き付いていると考えられます。「すら」は「梢」と「恋人」の掛詞と考えることができる。この方が、おもしろいですね。

 この『赤山節』は、『月ぬ夜節』に似ています。舞踊でも、どちらかが使われているようでして。両方覚えておかなければ安心できませんねえ。