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赤馬節(八重山)         
 とにかく覚えなければいけないと、一生懸命でした。
 八重山では、必ずといってよいくらい歌われる歌。踊られる踊りです。
 結婚式の披露宴でも、よく見られます。きょうだいや親戚の人が踊るのです。八重山では、舞踊など習ったことはないけれど、きょうだいが結婚するので、どうしても踊らなければならないんだ。なんていう話を聞くことがあるほどで、「鷲ぬ鳥節」と並ぶ大切な芸能です。

 あるとき、知人からメールが来ました。メールはおおよそこのような内容でした。
赤馬節は、喜びの歌ですね。馬が国王に献上されたときの喜びを歌っているのか、それとも、国王から、連れ帰ることを許されたときの喜びを歌っているのか、どちらでしょうか。

 「八重山民謡誌」(喜舎場永c・沖縄タイムス社)を読みますと。
 赤馬は、大城師番という人の馬で、師番が喜びのあまり歌ったのが赤馬節だそうです。が、赤馬節を四つ示しています。

「その1」
歌詞:赤馬ぬイラスザ・・・・
 師番の馬=赤馬が、あまりにも有名になり、国王の耳にも噂が届いたそうです。国王から所望されて、断るわけにも行かない。むしろ名誉なこと。ということで、赤馬が首里に献上されるときに、船を見送りつつ歌ったとされているのがこれです。

「その2」
歌詞:いらさにしゃ 今日ぬ日・・・
 首里に到着した赤馬が、どうにもこうにも言うことを聞かない暴れ馬になってしまいます。話が違う!ということで、師番が首里に呼びつけられます。師番が赤馬にまたがると、なんと噂通りのすばらしい馬に。それを見た国王から、「赤馬は汝と不離一体・・」と、赤馬を連れ帰ることを許されます。そのときの喜びを歌ったのがこれ。

「その3」
歌詞:嘉利吉ぬ今日出でぃや・・・
 旅行の時に歌われる歌詞。と紹介されています。

「その4」
歌詞」:御主加那志 御果報や・・・
 こちらは、諸祝儀の時に歌われる歌詞だそうです。

 「その3」「その4」は、赤馬節の成立に関わる歌詞ではなく、赤馬節が祝いの歌として認知されてから、その場にふさわしい歌詞が加えられたものだと考えるべきでしょう。
 一般的に歌われている歌詞は、「その2」が多いと思います。つまり、赤馬と一緒に帰ることができるという喜びを歌ったものと理解してよいでしょう。

 先ほどのメールの送り主は、歌詞の意味を十分理解して歌いたいということでした。この姿勢を見習いたいと思います。